- シナリオシミュレーション
- 看護
- SCENARIO
「すべて」が現場につながる①
-シミュレーションは学習への姿勢から-
SCENARIOのこと
行動の記録が意見交換のきっかけに
野島 行動記録が残るって聞いたときは感動しました。ファシリテートは学生の行動の観察をすると同時に、記録もしなくてはいけない。SCENARIOができる前は、沢山の紙に殴り書きする作業をファシリテートしながらしていました。でも、そうすると抜けが出てきたりとか、「あ、これ言うの忘れた!」という経験を何度もしてきたので。
マルティネス 記録が残ることのいいところは、SCENARIOを使えば学生とみんなと一緒に(モニターで) 振り返ることができて、同じポイントを一緒に見ることができる。
野島 みんなが思いだせるというのが良い。本人が覚えてなくても、「あーこんなことしてた」「してたしてた」って。
マルティネス 今までデブリーフィングはどうしても一方的だった印象があるので。紙媒体でチェックしていると、ファシリテータはメモを見てコメントするんですけど、学生は言われるだけじゃないですか。学生も、「ああ」「うん」みたいな(笑) それがパッと開けて、ディスカッションできる機会になってきました。「よりよくしていくには」という風に持っていきやすい。
野島 100%、SCENARIOで記録するのは無理ですけどね。結局タブレットも紙も持ってしています(笑) やっぱりアイコンとして準備されていないような思わぬ行動が学生としてはあって。そこは残しときたい、言葉にしなきゃ残せない、っていうときはやっぱり紙にメモすることも…。でも、やっぱりあの画面があると助かる部分がありますね。
教育者の手助けとしてのツール
野島 動機付けとして関心を引くという意味ではいいモデルと思います。学習者が興味を持たないと全く意味がないので。一方で、学習効果を高める一つのデバイスでしかないのが事実で、やっている内容は目新しいものでも何でもない。どちらかというと学習者というよりも教育者の手助けをしてくれる要素も結構大きいのかなと思います。あまり経験のない人がファシリテータをするときに、いいところは全部褒めようとするし、悪いところは全て指摘しようとして、学習目標に沿った内容で進めるのが難しいときがある。そうなったときにSCENARIOのソフトがあると、タブレットにある内容通り進めれば、最低限の振り返りを確実にできるので、絞った目標を達成する進め方としてあるのはいいと思いますね。
人数・台数についての悩みはありますが、それに対しては、学生に自由に使ってもらえるよう進めていこうと思っています。教員がつかなくても(ソフトウェアにチェックリストがあるので)タブレットがあればペアでチェックしあえる。管理だけちゃんとしてもらって、使いたいって学生に使っていってもらうのはしていますね。
SCENARIOの今後の課題
マルティネス シナリオを作っていて思ったのは、得手不得手があることですね。例えば日常生活援助。そういうのが看護で実際やっていくところなので入れたいんですけど、難しかったり。学生は色んな患者さんに出会うだろうし、色んな患者さんの設定ができると用途が広がる。
野島 異常を表現できるのはとても大事で、SCENARIOは内面の異常は表現できても外見の物理的な異常が表せないので、そうするとSPになってくる。使い分けが重要だと感じています。
京都橘大学は、国際、人文、教育、社会、医療系の幅広い分野が集う総合大学です。二〇〇五年四月、関西の四年制私立大学でもいち早く設置された看護学部では、充実した教員陣と独自のカリキュラムにより九一七人の卒業生を輩出。自らの知性や感性を磨き、倫理観を養うことで看護の本質を究め「人によりそう看護」を実践できる看護職者を養成しています。また、大学院看護学研究科博士前期・後期課程を設置し、新たな看護を創造できる研究者・教育者・管理者や高度な看護実践者を育成しています。
野島 敬祐 先生
京都橘大学看護学部 専任講師 |
マルティネス 真喜子 先生
京都橘大学看護学部 専任講師 |