- シミュレーションセンター
- シミュレーション教育
- コツ
- メンテナンス
島根大学医学部附属病院クリニカルスキルアップセンターにて
京都科学新入社員が島根留学に行ってきました【前編】
シミュレーション教育の舞台裏で見つけた数々の工夫
こんにちは!WEB管理担当のバヤシと申します。
昨年2023年10月、新入社員のバヤシとアラハタが『島根留学』という形で、島根大学医学部附属病院クリニカルスキルアップセンター(以下センター)に研修へ伺って参りました。
普段はシミュレータを『作る』側の2人が、
『使う、準備をする』側としてシミュレーション教育が行われている現場で2週間過ごした結果、果たして何が見えてきたのか!
前編・後編の2本立てで、バヤシの目線でお届けします。
今回の前編ではセンターで働く3名の方が持つこだわりと共に、スキルアップセンターでのお仕事について、プチレポートとしてご紹介します。
島根留学
前編:シミュレーション教育の舞台裏で見つけた数々の工夫(★当記事です)
後編:準備や片付けの中で見つけたセンター運営Tips!
シミュレーション教育の舞台裏!
センターで働く3名それぞれのお仕事と工夫
■お一人目は
センターのインストラクター
愛情と思いやりあふれる看護師の松村さん
『大切なのは先を読むこと』
松村さんは、学生から【自習でフィジコを使用したい】という大まかな内容の申し込みがあった場合
- 何のシミュレーションを行いたいのか?
- シミュレータの使い方は知っているか?
など、申込内容に記載された以上の先を読んで、手元に必要なものを集められています。
今この時期に、学生がフィジコを使って自習したい内容は『心電図検査』であると目星をつけられた松村さん。
たとえば心電図のクリップ電極。
これを用意しておくことで、シミュレータを使用するだけでなく、部屋にある心電図モニタを使って学生同士でも心電図を図ることができます。
センターを利用するからには、少しでも多くのことを学んでほしい、スキルアップしてほしいという松村さんの思いが伝わってきます。
~バヤシが気になった松村さんのウエストポーチ~
キビキビと動かれている松村さんは、臨床看護師のご経験を活かし、ウエストポーチに必要なものを入れて作業をされています。
気になる中身は?
- ペン
- 聴診器
- 養生テープ
- ハサミ
など
ウエストポーチの良いところは、両手が空くことです。
患者さんのケアもシミュレータのお世話も、両手がふさがっていてはお仕事ができません。
そして広い院内で遠い部屋まで準備をしに行く際、何度も物を取りに往復しなくて済みます。
今でも臨床看護師時代の持ち物も忍ばせていたりするそうです。
ちなみに!看護師時代のポーチの中身は、
- 2色以上出せるボールペン
- 蛍光ペン
- 油性マジック
- シャチハタの印鑑
- ペンライト
- タイマー
- 計算機
- 瞳孔、意識レベル、点滴速度早見表などの便利カード
- 覚え書きがしてあるメモ帳
- ハンドブック(自分の役割に必要なものを一つくらい)
- 聴診器
- 絆創膏
- 酒精綿
と、盛りだくさんです!
ポーチも効率を上げるための、工夫のひとつ!
ベルトには、ひと際目を引く緑色の養生テープ!
実はこれ、松村さんが看護師時代も同じようにサージカルテープを通されていたテクニックだそうです。
養生テープは何に使っているの?
何かを貼る、くっつける、基本的な使用方法ももちろんありますが、それだけではありません。
- シミュレータや物品の名札にする
- シミュレータを運ぶときに、四肢が垂れ下がって壊れないように体幹にとめる
- 皮膚の傷を表現したり、点滴の名前を書いたり、尿バックに尿量を書いたり……
- 付箋のように、ペンで文字を書いてメモ代わりに!
目立たせたいときは緑色のテープ、目立ちたくないときは半透明のテープ、など場面によって色の使い分けもしているそうです。これは便利ですね!
■お二人目は
異色の経歴を持つ新米インストラクター、救急救命士の上田さん
実習の準備の他、救急救命士の経験を活かしてBLSの指導もされています。
元々は消防ポンプ車の運転手を目指されていましたが、冷静なイメージの救命士のほうが自身に合っていると感じ、救命士の道に進まれたそうです。現在は狩野先生との出会いをきっかけにセンターでお仕事をされています。
準備に必要な情報は綿密にリストアップ!
センターでの準備チェックリスト!
- 何の実習や研修なのか
- どのシミュレータをどのように使うのか
- シミュレータや備品はいくつ必要なのか
- 他で使われているシミュレータはいつ帰ってくるのか
- 実習を行う先生の普段の授業はどのように行われているのか
限られた時間の中で準備をして試運転までを行う、
シミュレータそれぞれの特性を熟知し、優先順位を決めて動かれているからこそ生み出される効率の良い流れが、スムーズな研修や実習の現場に繋がっているんですね。
上田さんは、今後フィジカルアセスメントなど、より幅広いことを指導できるよう日々奮闘中です!
■三人目は
センター事務補佐員、イラストがお上手な春日さん。
主に講習の予約メールの返信や、講習会の参加者募集に向けた掲示物などのデザインを担当されています。ポスターに登場する可愛らしいタッチのイラストは、春日さんが描かれた作品も登場します。
今回はなんと特別に!
講習の参加者数UPに繋がる、ポスターのデザインのコツを教えていただきました。
こだわりは【シンプルに】
……あれ?そんなこと?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ですが実は、ポスターを見た人に必要な情報をキャッチしてもらうためにはこれがとても重要なのです。
気を付けること
- 文字のサイズに変化をつける
- 適度な余白ですっきりさせる
春日さんは過去に、華やかにしようと取り入れた写真やイラストで、かえってポスターの情報が見づらくなっていると感じられたそうです。
左側の残念な例と、右側の工夫されている例、
見比べてみていかがでしょうか?
工夫されている例は、必要な情報である講習内容や日付が見やすく分かりやすくなっていますね!
この余白こそが、無意識的に見た人に情報を届ける手助けをしてくれていたんですね。
この記事の筆者であるバヤシも、紙面のデザインをする際、つい『余白』の部分が気になり、何か画像や文字を入れたくなってしまうことがありますが、余白を恐れず、誰かに情報を届けるという目的を忘れないようにデザインしていきたいものです。
■まとめ
センターの方々の工夫の数々はまさに、医学教育を支える縁の下の力持ちです!
利用者の方のことを考えるからこそ生まれる先を読んだ動きは、センターでの準備以外にも生かしていきたいテクニックです。
さらに後編ではセンターでの準備や片づけの中で見つけたTipsをお届けします!
取材協力 島根大学医学部附属病院クリニカルスキルアップセンターの皆様 看護師 インストラクターの松村さん (現在は看護学科へ異動) 救急救命士 インストラクターの上田さん センター事務補佐員の春日さん |
|
施設情報
島根大学医学部附属病院クリニカルスキルアップセンターは、医学生、看護学生などの医療系学生、研修医、医師、看護師、薬剤師、検査技師などの医療専門職を対象に、医療に関する様々な技能トレーニングの機会を提供します。 |