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ICTを活用した看護基礎教育での取組 with ふりかえ朗

WEB管理担当のウエハラです。今回は、杏林大学さんによるICTを活用した基礎看護教育の実例についてご紹介いたします。

セミナーのタイトルスライドの画像
画像:ふりかえ朗アイコン

ふりかえ朗

ごきげんよう、MW42 “ふりかえ朗”じゃ。
ここ最近、社会全体で急速な広まりを見せたICT活用。試行錯誤を重ねながら葛藤されている先生方も少なくないと、全国のPhysikoさんから聞きましたぞ。

ところで先日、杏林大学の先生方4名を講師としてお招きして「ICTを活用した看護基礎教育での取組 with ふりかえ朗」について、セミナーを開催したのじゃ。
医療教育に携わる皆様方のヒントになることを願って、ご紹介させていただきますぞ。

講師:杏林大学 保健学部 看護学科看護養護教育学専攻
荒添 美紀 先生・佐野 恵美香 先生・大坪 裕子 先生・楠田 美奈 先生
日程:2021年6月28日
主催:株式会社京都科学 東日本営業部
形式:オンラインセミナー

オンラインセミナー講師の画像

杏林大学の先生方(左から)荒添先生、大坪先生、楠田先生、佐野先生。後ろには、八重や人体模型も参戦

看護教育を取り巻くICTに関する動き

画像:ふりかえ朗アイコン

まず、荒添先生からICT活用に係る国の動きについてのお話じゃ。

  • 2012年 「能動的学修(アクティブ・ラーニング)」が盛り込まれる(文部科学省 中央教育審議会答申)
  • 2013年 能動的学修(アクティブ・ラーニング)に「ICTの活用」に言及(第二期教育振興基本計画 文部科学省)
  • 2022年 看護基礎教育分野での情報通信技術(ICT)を活用するための基礎的能力を養う (看護師養成施設指定規則改定)

杏林大学の取り組み

臨地実習をふりかえ朗を使った学内演習に

画像:ふりかえ朗アイコン

ふりかえ朗

実際のところ、どんな風に学内演習を行ったのかのぅ?

荒添先生: 基礎看護学実習II(臨地実習)を学内演習で代替し、そこで、ふりかえ朗を活用しました。看護過程の展開と看護実践を通じて、できるだけ臨地実習に近づけるために様々な工夫を施しました。
例えば、アセスメントでは事前に収録した映像を用いて、その後のグループワークではオンラインでのディスカッションを実施。
これにより、問題解決能力やコミュニケーション能力、自己学習能力の向上にもつながったと感じています。これにつきましては、後述の「実践」をご覧ください。

画像:ふりかえ朗アイコン

ふりかえ朗

一石二鳥どころか、一石三鳥か、それ以上といったところじゃな。

ふりかえ朗とは?

佐野先生: 今回使用したのは、“MW42 ふりかえ朗”です。ふりかえ朗とは、動画を記録し活用するためのシステムで、個人の気づきや他者との共有をサポートしてくれます。カメラは2台(標準付属)を使用、ここで録画した映像を取り出し、映像配信システムやクラウドを使って学生と共有しました。そのため、学生がリモートでも学修できる環境ができました。

ふりかえ朗の概要01 ふりかえ朗の概要02

ふりかえ朗の設置方法

楠田先生: ふりかえ朗のカメラ2台を違う方向から設置して、全体像と所作が記録できるように工夫しました。カメラは三脚になっていて、学生の動きに合わせて高さを調整しました。

ふりかえ朗を使った撮影方法のイラスト  

実践① ベッドメーキング

看護の基礎となる「ボディメカニクス」の技術評価に

楠田先生: ふりかえ朗を使って、リアルタイムで手技を映して、ボディメカニクスの技術評価を行いました。手技実施者の周りに集まって評価する方法では、立ち位置によって所作の見え方も異なってきますし、場合によっては見えない学生も出てしまいます。一方で、ふりかえ朗では全員が同じ方向からの動きを見ることができます。

画像:ふりかえ朗アイコン

ふりかえ朗

わしの時代は「見て学べ」とよく言われたものじゃが、今の時代の「見て学べ」は、一味も二味も違う…うらやましい限りじゃのぅ。

実践② バイタルサイン測定とおむつ交換

統合技術の評価に

楠田先生: 看護技術のまとめとして、統合技術の演習でも動画を活用しました。以下の流れで実施しました。

  1. 撮影(バイタルサイン測定とオムツ交換)
  2. グループワークで振り返り(オンライン)
  3. 動画で自己・他者評価 (オンライン)
  4. 全体発表会
場老いたるサイン測定をしている学生のイメージ画像

実践③ 病院実習(基礎看護学実習)の代替演習

大坪先生: 「脳梗塞発症14日目のリハビリテーション期の60代男性患者の看護過程」をテーマに演習を実施しました。

  1. 患者情報を学生に提示
  2. それをもとに学生が看護計画を立案
  3. 模擬患者で看護実践を行い、それをふりかえ朗で撮影
  4. 撮影した動画はクラウドで共有し、映像を見ながら個人やグループで評価
  5. 最終カンファレンスでグループ発表

最後の発表会では動画の再生や切り替えなどの操作も、学生自身が行いました。

基礎看護学実習のフロー

基礎看護学実習のフロー

画像:ふりかえ朗アイコン

ふりかえ朗

まさにアクティブラーニングの良き手本…学生主体の振り返りで自ら気づきを得る、というところがミソじゃのぅ。

学生からの声

1、今回の最終カンファレンスに、動画を使った振り返りの学習を取り入れたことは、どのように感じましたか?

学生のアンケート結果01
  • 実際に動画で見ることで、改善点や工夫点を考えながら見ることができた
  • 言葉だけで説明されるより、視覚的情報として、実際にどのような手順で実施したのかが分かりやすかった

2、今後も、学生の実践場面の動画を活用した授業を受けたいですか?

学生のアンケート結果02
  • 動画を用いた方が具体的なところまで情報がたくさんあるため、勉強になる
  • 自分が見られるのは緊張してしまうが、実際に有効性を感じた
画像:ふりかえ朗アイコン

ふりかえ朗

かわいい学生さん方に使っていただいて、嬉しいのぅ。

ふりかえ朗を使った映像化のメリットは?

  1. どこでも何度でも繰り返し見ることができる
  2. 授業以外の時間で、予習復習にも使える
  3. 可視化によって、自分自身で気づきを得ることができる。

荒添先生: 映像化によって科目全体への興味関心が高まり、事前学修や技術演習にまでプラスの影響を与えることができました。さらに、互いの映像を見て自己・他己評価を行うことで、承認欲求が高まり、最終的にはモチベーションアップにまでつながりました。

画像:ふりかえ朗アイコン

ふりかえ朗

確かに、女優さんが見られることによって「美」が磨かれるのと同じように、見る・見られることって、大切なんじゃな~。

まとめ

  1. ふりかえ朗を使用することで、自分の実施したケアの身体の使い方や声掛けなど、映像から自分自身で振り返ることができ、良かった点や改善すべき点を詳細に分析することができる。

  2. 他者の動きをみて学ぶことにより、様々な援助方法の理解と、あらたな発見ができる

  3. ふりかえ朗を映像教材として活用した今回の取組は、学生の自ら学ぶ力の育成およびICTを活用するための基礎的能力を養うことができる。

  4. 今後は、時間や場所にとらわれないオンラインでの動画の閲覧と言う学びの多様性と、アクティブラーニングにも寄与できると考えている

今後の展開

教育効果の測定と撮影の工夫

佐野先生: 今回は、実践中心のICT活用となりました。今後は、教育効果を検証していきたいと思います。 また、今回は、カメラ2台をつなげて撮影をしましたが、手元の動作や表情を捉える撮影アングルも検討して、コミュニケーションの評価も実施したいと考えています。

画像:ふりかえ朗アイコン

ふりかえ朗

なるほど、使い手次第で色々な可能性がありそうじゃ。ちなみに、ふりかえ朗は5台までカメラを接続することができるから、遠慮なく相談して欲しいのぅ。

杏林大学保健学部看護学科のご紹介

杏林大学保健学部看護学科には看護師・保健師・助産師を目指す看護学専攻と、看護師・養護教諭を目指す看護養護教育学専攻の2つの専攻があります。私たちは、看護養護教育学専攻の基礎看護学を担当しており、主に1,2年生の教育に携わっています。
「看護とはなにか」から始まり、「看護の対象の理解」、「看護技術」等、看護を学ぶ土台を学生自らつくれることを目指して、日々奮闘しています。

セミナー収録動画全編をご覧になりたい方は

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このセミナーの動画は期間限定でオンデマンド配信を行います。
奮ってお申し込みください。

PC・スマホ問わず、期間中お好きな時間に何度でも視聴可能です。

  • 配信日程:2021年7月28日(水)09:00~7月30日(金)18:00
  • お申し込み方法:下記お申込フォームからお申し込みください。
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