- 医療安全
- その他
【医療安全】医療事故の再発防止に向けた提言 ポイントまとめ
「医療事故の再発防止に向けた提言」とは?
医療安全への取り組みの1つに、日本医療安全調査機構が作成する「医療事故の再発防止に向けた提言」があります。
実際の事例を分析し、再発防止策をまとめた同提言。医療従事者だけでなく、関連企業に対してもリスク喚起や取り組み支援の実施を推奨する記載が含まれています。
そこで今回は弊社の医療安全に関する取組みの一環として、今までに公開された提言の概要と、医療教育の視点から内容に沿ったシミュレータを合わせてご紹介します。
医療事故の再発防止に向けた提言 もくじ
【第1号】中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析
【第2号】急性肺血栓塞栓症に係る死亡事例の分析
【第3号】注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析
【第4号】気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例の分析
【第5号】腹腔鏡下胆嚢摘出術に係る死亡事例の分析
【第6号】栄養剤投与目的に行われた胃管挿入に係る死亡事例の分析
※対応シミュレータをまとめて確認する場合はコチラ(PDF)
第1号 中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析
「死亡に至る事態を回避するにはどうしたらよいか?」という視点でまとめられた9つの提言が提示されています。
内容は患者・家族への説明から手技方法まで幅広いですが、シミュレータ企業として、下記の内容に注目してみました。
【提言4】リアルタイム超音波ガイド下穿刺は、超音波の特性とピットフォール(盲点)を理解した上で使用しなければ誤穿刺となり得る。術者はあらかじめシミュレーショントレーニングを受けることを推奨する。
他にも、超音波を使用して医療事故を防ぐこと、また、トレーニングによって超音波ガイド下穿刺の熟練度の向上を図ることなど、超音波を使った穿刺技術の向上が提示されています。
日本医療安全調査機構による報告書の末尾には、中心静脈穿刺に関するチェックリストも付属しています。下記リンクよりぜひご確認ください!
第2号 急性肺血栓塞栓症に係る死亡事例の分析
肢・骨盤などの深部静脈に生じた血栓が肺動脈をつまらせ、急性の肺循環障害を生じさせる「急性肺血栓塞栓症」。突然発症し死に至る、という経過を辿る確率も高い疾患です。
そのため報告書では、予防法の共有や早期発見・症状が疑われた場合の検討事項が提示されています。
こちらも報告書内に、急性肺血栓塞栓症に関するチェックリストがまとめられています。
第3号 注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析
報告書によると、アナフィラキシーショックによる死亡数は50 ~80人弱/年、その最多の原因が医薬品いうことが判明しています。
速やかな対応が求められるアナフィラキシー。報告書内ではアドレナリンによる対応を含め、情報を多職種間で共有することなどに触れた提言が示されました。
これに対し弊社では、様々な状況設定の元、患者の状態変化を再現するシミュレータ「SCENARIO」を使った学修を提案しています。
提言の詳細などは下記からご確認いただけます。
第4号 気管切開術後早期の気管切開チューブの逸脱・迷入に係る死亡事例の分析
気管切開チューブ逸脱・迷入については、多くが術後 2 週間以内に発生していることから、気管切開術後”早期”でのリスクや注意点などに関する提言が出されています。
患者の体位変換といった日頃のケアから逸脱が疑われる際の対応まで、7つの提言が示されました。
また、気管切開チューブに係る医療事故については、別組織の日本医療機能評価機構も医療安全情報として公開しています。
こちらは体位変換時のチューブの偶発的な抜去についての報告が主な内容です。
第5号 腹腔鏡下胆嚢摘出術に係る死亡事例の分析
一般社団法人 National Clinical Databaseによると、胆嚢摘出術(うち腹腔鏡下が約90%)に関連した死亡率は約 0.3%だそうです。
日本医療安全調査機構はこの決して低くはない確率を踏まえ、事例の検証から、手術適応などに関する提言6つを示しています。
これに対し弊社では、腹腔鏡縫合の技術を客観的評価することができるシミュレータで、基本的な技術力の底上げを提案しています。
提言の詳細などは下記からご確認ください。
第6号 栄養剤投与目的に行われた胃管挿入に係る死亡事例の分析
2018年9月に公開されたばかりの第6号報告書。
現場で広く行われている気泡音聴取だけでは確認として不確実であるということは以前より指摘されてきたものの、それを原因とした医療事故が発生していることを踏まえ、6つの提言が公開されました。
とくに、複数の方法での位置確認については、下記のような提言がなされています。
【提言3】気泡音の聴取は胃内に挿入されていることを確認する確実な方法ではない。胃管挿入時の位置確認は、X 線や pH 測定を含めた複数の方法で行う。特にスタイレット付きの胃管を使用するなど穿孔リスクの高い手技を行った場合は、X 線造影で胃管の先端位置を確認することが望ましい。
また、経鼻栄養チューブの誤挿入については、日本医療機能評価機構も医療安全情報として公開。
前述の提言同様、胃内挿入確認について気泡音の聴取のみでは信頼できる方法とはいえないとの意見を提示しています。
おわりに
今回ご紹介した医療事故の再発防止に向けた提言に対応した製品は、以下のリンクから一覧でご確認いただけます。(PDFダウンロード)
医療安全に関する情報は、更新され次第またお知らせしていきます。ぜひチェックしてくださいね!