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超緊急帝王切開シミュレーションReport
こんにちは!京都科学SimSim担当のナカです。先日岡山大学病院にて、「超緊急帝王切開(GradeA)シミュレーション」が実施されました。その模様をSimSim編集部の沐浴人形 桃子ちゃんにレポートしてもらいます。それでは、どうぞ!
超緊急帝王切開(GradeA)とは?
GradeA帝王切開とは、母子どちらか、もしくは両方に生命の危険がある場合の最も緊急性の高い帝王切開を指します。医師がGradeAを宣言した後は、他の要件を一切考慮せず、15分以内の児の娩出を目指します。緊急で手術が決定され、迅速な児の娩出が必要となるため、産婦人科、麻酔科、手術室、新生児科…など多くのスタッフがスピーディーに連携を取り合う必要があります。
シミュレーション準備
シミュレーションの1週間前、各科のシミュレーションの指導者が集まり、事前の打ち合わせが行われました。事前に決定したシナリオを共有しながら、シミュレーションの流れ、院内の経路、使う設備の確認を進めます。
桃子
できるだけ実際の状況に近づけて行うために、設備も普段使っているものを使うバブ。科の垣根を超えた綿密な段取りが必要バブ。
今回のシナリオは夜勤帯。限られた人員、経験の浅いスタッフもいることを想定しているバブ。
シミュレーション当日
シミュレーションは外来が終わり、院内が落ち着いたタイミングで実施されました。
診療を終えた参加者が続々と集まり、胎児心音はちょうどいい音量で流れるか?別フロアのスタッフは準備ができているか?開始時間が迫る中で最終準備が進められます。
そして、シミュレーション直前のミーティング。産科内では目標の確認を行います。「とにかく、いつも通りにやること!」最後はこの言葉で締めくくられました。
いざ、シミュレーション開始!
担当助産師「お母さん、少し赤ちゃんがしんどそうなので横向きますね。深呼吸してください。……まだしんどそうなので酸素もつけますね。」
シミュレーション中指導者は、予め科ごとに設定した評価項目をスタッフが実施できているか、タブレットに記録していきます。
応援の助産師が駆けつけ、分娩室の緊張感が増してきました。
「赤ちゃん大丈夫ですか?」「これからどうなるんですか?」お母さん(シミュレータ)が心配そうに問いかけます。
分娩室での処置と産科医によるモニタリングが続けられましたが、胎児の心音は戻らず、GradeAが宣言されました。
他科に応援要請をするスタッフ、記録を取るスタッフ、周りが慌ただしく動く中お母さんが安心できるよう声掛けを続けるスタッフ…分娩台周辺の機材をまとめると手術室に向かって走り出します。
待ちが出ないよう事前にエレベータを呼び出したり、走る産科チームにオペ室の場所の声掛けをしたり……小さなファインプレーの数々が1分1秒を争う中でのスピード搬送を支えていたバブ。
オペ室に入ると麻酔科が準備を終えNICUのスタッフも到着していました。オペの準備が進む間も、緊迫した空気のオペ室でお母さんが不安にならないよう、助産師が声をかけ続けます。
ギリギリまでお母さんに寄り添おうとする助産師さんの姿に胸を打たれたバブ。
オンコール医が到着し、状況確認を行い、ついに帝王切開が始まりました。
胎児が娩出されるとすぐに新生児科+NICUチームに引き渡されます。
目にも止まらぬ速さで処置が進んでいったバブ。
……と、ここでシミュレーションは終了。計測の結果、今回はGradeA開始宣言から胎児娩出までの目標タイムをクリアしていました。シミュレーション後は科ごとに分かれてデブリーフィングが行われ、振り返りと改善点があるとすればどこか、話し合いが行われました。
実際に動いてみて、その現場を各科のスタッフが見学し状況を共有することで、気づくことがたくさんあったそう。実際の現場では目の前の患者さんを助けることが優先されて見過ごしてしまう小さな気づきをじっくり振り返って、よりよい医療に結び付けられるのは院内シミュレーションの良いところバブ。毎日忙しい中で、こんな機会を持ってくれている医療従事者の皆さんに感謝バブ。
今回使用したシミュレータは… ユニットを付け替えて妊娠期・分娩期・産じょく期それぞれのシナリオシミュレーションが可能。付属のタブレットにはシミュレーション中の行動記録やデブリーフィングサポート機能も。 |
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