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ポケットエコーでつながる看護ケア

この度京都科学がリリースした、超音波ファントムシリーズ。このシリーズは看護ケアにおけるエコーの学修ができるモデルです。
“看護ケア”で“エコー”?聞きなれない組み合わせかもしれません。
そこで、今回は看護師向けのポケットエコーセミナーで講師をされている、山口睦弘先生にお話を伺いました!

“ポケットエコーの自由度の高さ”

京都科学 中(以下中):ではまず、そもそもポケットエコーとはどういったものか教えていただけますか?

山口先生(以下敬称略):ポケットエコーとは、文字通りポケットに入るような小型のエコー装置のことを指します。
ひと言にポケットエコーと言っても、据え置き型装置の必要最小限の機能を備えたものや、さらに機能を絞り使いやすくしたもの、機能を落として安価にしたものなど、今やそのバリエーションは多岐にわたっています。例えるなら、携帯でも高スペックのスマートフォンがある一方で、操作が分かりやすく機能が絞られたらくらくフォンや、ほぼ電話しかしない人のためのガラケーなど用途に合わせて様々な機種があるのに似ていますね。ただどのポケットエコーにも共通して言えることは、使う場所に縛られないところです。従来の据え置き型のエコー装置はLANケーブルや画像出力ケーブルなど配線がややこしく、検査室の外に持ち出すとなるとひと苦労で、それを使う人も一部の医療者に限られていました。しかしエコー装置がポケットサイズまで小型化してさっと持ち運べるようになってからは、エコーの使い方は大きく変わり、今は看護分野にも普及が進んでいます。

据え置き型エコー装置からポケットエコーへの写真

据え置き型エコー装置からポケットエコーへ

“目的を変えれば、違和感はなくなる”

:看護師がエコーを使うなんて、今までなかったことなのではないでしょうか

山口:エコーと聞くと、多くの看護師さんは「難しいもの、私たちが触ってはいけないもの」というイメージをお持ちかと思います。ご自身が使うとなると、検査→結果が必要→見逃しが怖いと感じたり、ドクターとの兼ね合いを気にしたりして、そもそも看護師がエコーを使うことに違和感を持たれることでしょう。しかし現在では、ポケットエコーは従来の検査が目的ではなく、血圧計、聴診器、体温計のような、普段のアセスメントを目的とした道具のひとつとして医療現場で活躍をしています。

普段のアセスメントにエコーをの写真

普段のアセスメントにエコーを

検査ではなく、例えば“ちょっと尿がたまっていないか、確認する”ことを目的とするのです。当ててみて、何か有益な情報が得られればラッキー!くらいの気持ちで使ってみてください。分からなければ普段のアセスメントをすればいいんですから。

:肩肘張らず、まずは当ててみるが良しということですね。

“みんなが安心”ポケットエコー

:今までエコーを使っていなかった看護や介護分野でエコーを導入するメリットは何でしょうか?患者さんの反応はどうですか?

山口:まず、患者さんや利用者さんはエコーを当てられる負担感よりいろいろ見てもらえたという満足感を強く感じていらっしゃるように思います。また彼らにとっては、「膀胱に200㏄おしっこがたまっていましたよ」と言われるより、膨らんだ膀胱の画像を見せられた方が説明のイメージが付きやすい、というメリットがあります。看護師さんからしても非医療従事者にも理解しやすい説明ができることで、普段のケアの中で患者さんやそのご家族の理解や協力を得られやすくなるメリットがあります。また担当の医師や次にその利用者さんを受け持つ看護師に画像を共有することで、継続した観察や一貫した処置や指導につなげることもできます。

ポケットエコーで画像を共有している写真

ポケットエコーで画像を共有

それに保険診療においては、看護師が医師の指示のもとエコーを実施した場合、保険の算定は可能となっています。これは看護師さんにはまだあまり知られていないようですね。

“ステップを踏んで、ハードルを下げる”

:先生はポケットエコーセミナーで講師をされています。実際にどのような講義をされていますか?

山口:はい。私は、PELS(ポケットエコー・ライフ・サポート)セミナーという主に看護師向けの教育コースで講師をしています。これは、京都科学の超音波ファントム、使いやすさに特化して開発されたポケットエコー、専用のテキストを用いて、ポケットエコーを初めて使う方でも簡単に、普段のケアに活かせるエコー技術を学ぶためのセミナーです。

PELSセミナーの様子

PELSセミナーの様子

その中で私は、看護師さんがエコーを使う上での障壁をひとつひとつ取り除いていくことを大切にしています。
まず、「エコー装置はボタンが多くて、余計なところを触ったら壊れるかも…」という装置自体に対する心理的な抵抗感を取り払う必要があります。実際にポケットエコーを触っていただくと、そのボタンの少なさや操作の簡単さに皆さん驚かれることが多いです。次に、実際にファントムにプローブを当てていただき、エコー画像が簡単に描出できること、またその画像を簡単に読み解くことができることを体験してもらいます。
エコーが初めての方には、膀胱から学修を始めていただくことをおすすめしています。エコーでは見たい臓器の位置にプローブをあてるのですが、膀胱の位置を知らない看護師さんはいないでしょう。また、膀胱に尿がたまっていると、黒い固まりとして映るため、初心者でも簡単に見つけることができるからです。
京都科学の膀胱ファントムは恥骨が再現されており、触診→プローブ操作という実臨床に近い体験をする事ができます。こんな簡単に見れるんだ!という感覚をつかんでいただくことが大切だと思っています。

:黒い固まり…確かにエコー画像のごちゃごちゃとしていて何が何だか分からないというイメージとは見え方が全然違いますね。

京都科学製ファントムの膀胱内の超音波画像

画面中央右、大きな黒い固まりが膀胱。(写真は京都科学ファントム、尿量300㎖モデル)

:では最後に、ポケットエコーの導入を検討されている方にアドバイスをお願いします。

山口エコーは難しいものを見ようとするから難しいのであって、分かるところから始めれば全然難しいものではありません。膀胱の尿量も正確に量を測ろうとするのではなく、多いのか少ないのかを確認するところから使っていただければと思います。ポケットエコーを使うとき、あなたはひとりではありません。医師や看護師、患者さんやそのご家族、ケアに関わる皆と画像を共有してより良いケアに繋げていただければと思います。

:多職種連携の中で、ポケットエコーは今後ますます活躍していくように感じました。山口先生、ありがとうございました!

山口睦弘先生のポートレート 山口睦弘先生

臨床検査技師・超音波検査士
株式会社ソノジー 代表取締役
一般財団法人ヘルスケア人材育成協会 理事
協会HP:https://sonic-j.com/team-healthcare/

【製品紹介】 画像:膀胱内尿量測定ファントム

尿量の異なる4種のキューブを搭載
脱水~尿閉の判断のトレーニングに!

US-16 膀胱内尿量測定ファントム

     


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