- レビュー
- 呼吸音聴診
その呼吸音、なんの音?
-『呼吸音聴診ガイドブック』レビュー-
こんにちは!SimSim記事担当のハシモトです。
早速ですが、呼吸音聴診の学習、どのように進められていますか?本を使ったり、シミュレータをつかったり、SPさんにお願いしたり…。
今回の記事で取り上げるのは、もちろんシミュレータ!…ではなく、ある本を使った学習です。
「聴診初心者の私が一から聴診を学んでみた!」と題し、4月に発刊された山内豊明先生(放送大学大学院教授)の新著、『呼吸音聴診ガイドブック』を使い、実際に私が自己学習してみてのレビューをお届けします!
準備編
書籍、PC(スマホ可)、とイヤホンを用意します
「え?パソコンがいるの?」と思われた方もいるかもしれません。
そうなんです。実はこの本の特典として、実際の呼吸音や音の原理の解説動画をWEBで見ることができるんです。
内容も本とリンクしていて、その項目で学んだ呼吸音を読み進めながら聴くことができます。
ちなみに、私は喫茶店で本を読みつつ、スマホでWEBの呼吸音を聴いて学習しました。(写真は後日のものです) WEB付録は、場所を問わずに学べるのもいいところですね。
では、早速すすめていきましょう。
内容編
その呼吸音のメカニズムを理解しよう!
本の冒頭では、
■聴こえる音からメカニズムを理解し、その上でケアに結び付ける思考過程の体系化
■共有が難しい”その時の音”を共通用語に落とし込むことの大切さ
などが謳われています。
生活の中でも聴診に限らず「理屈はともかくこの場合はこう」としてしまうケースはよくあるけれど、応用が効かなかったりするなあ。としみじみ。 (例えば、私はよくクックパッドを見て料理しますが、毎回書かれてるままに作るので、いつまでたってもアレンジに至りません・・・うーん。)
さて、本の話に戻すと、今回の私のような初学者だけでなく、経験の深い方も「普段自然としている聴診~ケアの流れを言語化できること」の重要性が記されていました。
最後まで読んでみて、この本自体がまさに聴診からその音が発生しているメカニズムをどう理解するかを言語化している!と感じたので、経験者の方や教育者の方にとっても興味深い本ではないかと思います。
副雑音、何がどう鳴っている?正常ってどう決める?
さて、いよいよさまざまな音の原理を学んでいきます!
説明は「細かい断続性副雑音は古い固くなったの風船を膨らませるときの音」といった分かりやすい例えで、初学者の私も想像しやすく原理を理解しやすいものでした。
それぞれの音について、「こういう原理だから、鳴るタイミングはここ」と説明してくれるので、フムフムと納得しながら音の聞き分けポイントを覚えられます。
特に私がいいなと思ったのは、「正常音」についても詳しく解説があるところ。
「正常」というのは「異常がない」ことで定義する、当たり前のようで、とても大事なことだなあと感じます。
(この「ない」ということを情報として伝えることの重要性は、弊社主催のシナリオシミュレーション講習会のご講演でも、山内先生がよくおっしゃられています。)
正常音・副雑音を実際に聴いてみよう!
さて、本を読み進めると、WEB付録への誘導が所々に出てきます。
そのページで習った音をすぐに聞くことができる仕組みになっていました。
そして各章の最後には聴診テスト(!)がついています。せっかくなので、初心者の私もチャレンジしてみました。
結果は…もちろん満点!
…とは残念ながらならなかったので、もう一度音を聴きながら原理を確認しました…。
本から得た知識と実際に耳で聴いた音をリアルタイムで関連づけて学習ができ、記憶にもしっかり残る。
この1冊でなんだか耳が鍛えられた気がします。
最後に
最後まで使ってみての感想
この本の中に、呼吸音の「カタログ」を整理するという表現があります。
まさに今まで呼吸音は私にとって「いろいろな音」だったのですが、学習後は頭の中できれいに分類されていて、「音聞き分けるの難しそう…」という先入観が和らいだ気がします。
今度、会社にあるシミュレータで、聴診器を使って聴いてみよう。
そしてここまでは私の自己学習レポートという形でご紹介してきましたが、山内先生によるプチ講義付きの書籍紹介動画もあるそうです(↓コチラ)
全国の書店や、オンラインでは医学書院さんのHPでも購入が可能とのことですので、是非お手に取ってみてくださいね。
山内 豊明 先生
放送大学大学院 文化科学研究科 生活健康科学 教授
1985年、新潟大学医学部医学科卒業。1991年、同大学博士課程修了、医学博士。内科医・神経内科医として8年間の臨床経験の後、カリフォルニア大学医学部勤務。1996年、ペース大学看護学部卒業、米国・登録看護師免許取得。1997年、同大学院看護学修士課程修了、米国・診療看護師(ナース・プラクティショナー)免許取得。1998年、ケース・ウェスタン・リザーブ大学看護学部大学院博士課程修了、看護学博士。同年に帰国し、1999年、看護師、保健師免許取得。2002より、名古屋大学大学院医学系研究科 基礎・臨床看護学講座 教授を経て、2018年より現職。