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医学・看護のシミュレーション教育情報をお届けするWEBマガジン

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昭和大学が目指す 日本一!世界一!のカリキュラムづくり(後編)


昭和大学医学部では、「日本一のカリキュラム」を目指して、2020年に医学教育を大幅に改革しました。2021年度にはシミュレーションセンターも開設しました。後編の今回は、アクティブ・ラーニングを行うための教育の形や、新設のシミュレーションセンターの役割についてお話しいただきます。

  昭和大学外観

新設の教育研修棟にてお話をお伺いしました

*この記事は「医学・歯学教育 教材カタログ2023年度版」に掲載の記事に、未公開場面を追加しWEB用に書き起こしたものです。


教え込むのではなく、教えあう教育へ

Q4. 「臨床中心」の新カリキュラムは従来のものよりハードに感じますが、学生さんの様子はいかがですか?

泉先生:彼らにとってはこれが普通なんです。これしか知りませんから。私たちもカリキュラム初年度は、学生がついてこられるか様子を見ながら、「君たちは日本一だ!」なんて言いながら進めていたんです。そうしたらある学生が、「日本一じゃなくて世界一です!」と(笑)。学生たちは自信たっぷりと前向きに取り組んでいます。

土屋先生:彼らは1度行動のフォーマットを身につけると強いんです。実習なら、実習計画書を見て、集合時間を確認し、決まった曜日に実習場所に行く。この流れが身に染み付いていると、科目が変わってもあまり混乱していないように思います。それに今の学生は応用が上手いです。2年次から医学論文づくりをさせているのですが、最初に医学論文はどういうものなのかを提示し、例を示すと、そこからはどんどん自分たちで応用して進めていきます。

   

川原先生:「教え込む」のではなく、「教えあう」教育の形をつくることが、アクティブ・ラーニングでは重要だと感じています。教員の数には限りがありますし、教えあうことで知識が定着していきますから。

泉先生:教員はそんなに教えていないんですよね。もっと手取り足取り介入する必要があるのかと思ったら全然そんなことはなくて。アクティブ・ラーニング主体の学修は大変でしょうと他の学校の先生によく言われますが、学生が優秀だと信じて、細かい指導はしていません。

シミュレーションの立ち位置

  シミュレーションの様子

Q5. 2021年にシミュレーションセンターを開設されていますよね。今回のカリキュラムではここはどのような役割ですか?

泉先生:アクティブ・ラーニングが主体のカリキュラムなので、なくてはならない存在です。2022年からは川原先生が赴任したことで、ハードとソフトの両方が揃いました。

 

川原先生:シミュレーションの立ち位置は学年によって異なると考えています。例えば、低学年なら知識を身に着けたうえで「体験する・やってみる」ことが学修目標になります。臨床実習に出る前に、血圧の図り方を学生同士で教えあってやってみる。現場でこれならできる!という学生の自信や、逆に、以前習ったはずなのに忘れてしまった、学び直さなくては、という気付きにつながる効果があります。シミュレーションを実践のための準備教育とすることで、学びのモチベーションを高めることができます。一方で、高学年になり、臨床参加型実習に出るようになると、技能や態度を「身につける・できるようになる」ことが目標になります。

  シミュレーションの様子

失敗を恐れず、安心してやってみることができるのもシミュレーションと臨床の違いですね。

 

川原先生:現場の先生は普段実際に患者さんを相手にしているため、シミュレーション教育に懐疑的な意見があることも確かです。しかし、ある学びは「臨床現場」で、これは「シミュレーション」で、と役割分担することができると思います。また、シミュレーションセンターは、学生の学びの場であるのはもちろん、研修医が「うまくいかない技術を解決する」、医師が「医療安全を高める」など多様な使い方ができると思います。折角のシミュレーションセンターですから、様々な色を出しながらたくさん活用していきたいと思います。

話し合う先生方

昭和大学シミュレーションセンター図面

世界一のカリキュラムが目指す医師像

Q6. 最後に、昭和大学が目指す医師像についてお聞かせください。

土屋先生:臨床で患者さんの役に立つ医師を育てることに最も力を入れています。一言で「役に立つ」と言っても、その方法は様々で、技術や知識があることはもちろん、患者さんの生活を考えられることも目標のひとつです。

川原先生:今回のコアカリに「生活」が入ったのは感動しました。今まで生活を見るのは看護の領域で、医学は治療が中心だったので。患者の立場に立てる、実践力の高い医師が育ってくれればと思います。

泉先生:臨床実習とアクティブ・ラーニングで学んだ学生達は、教員が驚くほど能動的で優秀です。学生達は入学時の希望と溢れるほどのパッションを保ったまま良医になるというゴールを見据えながら学んでいます。将来、このカリキュラムで育った学生が、日本の医療を牽引する存在になると信じています。



この度は取材にご協力いただき、ありがとうございました!先生方のエネルギッシュでチームワーク抜群の雰囲気に、インタビュー開始直後から引き込まれてしまいました。「学生を信頼すること」という力強いお言葉は、医学系の教員だけでなく、全ての指導者の背中を押すメッセージだと感じました。新カリキュラムも今年度で4年目。進化を続ける昭和大学から今後も目が離せません!

先生方写真 取材ご協力:昭和大学 医学部 医学教育学講座 
教授  泉 美貴 先生(写真中央)
准教授 川原 千香子 先生(左)
准教授 土屋 静馬 先生(右)
Writer's Portrait 昭和大学
創立者である上條秀介博士の「国民の健康に親身になって尽くせる臨床医家を養成する」という願いのもとに設立された、医学部・歯学部・薬学部および保健医療学部の4学部からなる医系総合大学です。建学以来受け継がれてきた「至誠一貫」の精神を体現し、真心を持って国民一人ひとりの健康を守るために孜孜として尽力することを本学の使命としています。



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