医療的ケア児モデル JANA

監修・指導:
久留米大学医学部看護学科 渡邉理恵
実用新案2023-004147号(共同出願)

photo

小児(乳児)に対する医療的ケアやBLSをトレーニングし、医療的ケア児への実践的な支援を学ぶモデル

実習項目

photo

photo

気管切開部のケア:

固定紐の交換/紐交換時の皮膚ケア

胃ろうケア:

胃ろうの日常的な手入れ

photo

photo

経管栄養/吸引 カテーテルの挿入:

経口、経鼻による栄養カテーテルの挿入、気管切開部からの吸引カテーテルの挿入が可能です。

胸部の皮膚を外すことで、カテーテルの位置と挿入長の関係を視覚的に学修できます。

photo

photo

胸骨圧迫/BVMによる換気:

幼児に対する胸骨圧迫と、バックバルブマスクを用いた気管切開部より換気のトレーニングができます。

換気の際の胸郭の挙上を再現。また、胸部皮膚を外すことで、換気による肺のふくらみを確認可能。適切な換気量を視覚的に学修できます。

photo

photo

BLS評価:

アプリケーションと連動させることで、胸骨圧迫、換気をリアルタイムで評価し、正しいBLS技術を身につけることができます。

評価項目:圧迫の深さ/リズム/リコイル/換気量

アプリ:CPR add-on-kit Student

App Store(iOS)/Google Play(Andoroid) にて無料ダウンロードいただけます。

photo

photo

抱っこの練習:

首の不安定さを再現。気管切開や胃ろう部分を考慮した抱っこをトレーニングできます。

photo

開発にあたって

Ⅰ.作成の経過と目的

現状の課題抽出

① 体内が見えないことで、気管支とカニューレの位置、指示された長さを挿入した場合の 吸引チューブの先端の位置がわからず、不安が大きい。

② 気管切開の管理やケアを練習するものが無く、実際の子どもで行なわなくてはならず、不安と恐怖を感じている。

③ 繰り返し練習しながら、方法について確認できる教材がない。

④ 多職種間で気管切開の技術についての課題を共有する媒体がなく連携が難しい。

課題解決のための教材の開発

① 軽量で携帯性が高く繰り返し家族間・多職種間で練習ができる。

② 子ども本人ではなく、このモデル人形にて練習を繰り返し行うことができる。

③ カニューレ部を可視化することで管理やケアの根拠の理解を促すことができる。

④ 抱っこ・固定ひもの交換・入浴時の注意点など子育てとしてのケアの練習ができる。

本教材の活用により期待する成果

1⃣ わかりやすさが「できそう」という自信となり家族や地域の支援者が医療的ケア児を 受け入れ、退院を促進できる。

2⃣ 地域で気管切開の管理・ケアに関して理解したり、技術を修得した多くの職種の人材 が増える。

3⃣ 医療・保育・療育・教育・介護など多職種間でモデル人形を介した課題の共有ができ継続した連携が生まれる。

4⃣ 地域で気管切開の管理ができることで、子どもの社会参加が可能となり、社会的孤立 を回避できる。

5⃣ 親の離職防止が定着し、気管切開があっても、地域で家族の一員として成長しながら 暮らしていける。

Ⅱ.監修者のコメント

 この教材は在宅療養児の父親である「モハメド・エルフェキ」氏が、可視化された練習用教材を日用品を工夫して作成したことがきっかけとなり、さらに製作者がこれまで携わった多くの立場の方々の意見を集約してこの形態と機能となったものです。2021年6月「医療的ケア児とその家族への支援法案」が制定され、この目的を具体的に展開するためには、地域社会全体が医療的ケア児について理解し、関わり方や、提供すべき医療的技術を体験的に学び、実践的な支援を可能とする必要があります。つまり、実践可能な人材の育成が重要な課題と言えます。この教材を活用することで、多職種が手を携えて学び合う仲間としての質の高い連携が生まれることも期待しています。是非本教材を活用していただき、ご意見やご感想をいただけましたら幸甚にございます。 渡邉理恵