DVDわかりやすい放射線防護 / 放射線防護 実験セット
放射線診療に携わるすべての医療従事者へ
「放射線防護について学べる教材ができました」
教材のねらい
開発背景
一般社団法人 日本看護学校協議会は、会員校への71項目の実施状況調査(2019,20年)の結果をもとに、学内演習の実施率が低い項目に対する演習支援教材開発プロジェクトを立ち上げました。 それに加えて、2020年のカリキュラム改正にて到達度を示す「技術」は手技であると整理され、必ず演習で実施することが示されました。
「放射線防護」も演習が必須な項目の一つになりましたが、以前より「どのように授業や演習を展開すればよいかわからない」という声が上がっていました。
これらをきっかけに、東京医療保健大学 小野孝二先生の監修のもと、 一般社団法人 日本看護学校協議会と京都科学が共同で開発したのがこの演習支援教材です。
教材のねらい
本教材は、「医療従事者が放射線を正しく理解し、根拠を持って自身を防護できるようになること」を目標として開発されました。
医療従事者への放射線教育は養成所での基礎教育が最後になることが多く、現場では「適切でない防護」が実施されていることがあります。この適切でない防護は、防護不足による医療従事者の被ばくと、その逆、必要以上に恐れてしまう過剰防護を問題としています。
医療従事者が合理的に業務を行うため、そして患者さんが安心して治療を受けるためにも、放射線の本質を理解し、基礎を身につけることが重要です。
このDVD教材と実験セットは、これから放射線の知識を習得したい方、今一度基礎を確認しておきたい方の双方に有効的な教材です。
わかりやすい
DVD教材
段階を踏んで放射線を理解
第1章として、㏃(ベクレル)や㏉(グレイ)、㏜(シーベルト)といった放射線にまつわる単位の学修からはじまり、どの程度の放射線量から健康に影響が出るのかと、基準となる値(しきい値)も理解してもらいます。
その後、第1章の内容を踏まえて、医療従事者の線量限度や防護の方法など、より実践的な内容に移ります。
視覚的にも分かりやすい「イラスト解説」
このDVD教材では、初学者がつまずきやすいと思われる箇所をイラストやアニメーションを用いて説明しています。 視覚的にも分かりやすく簡素にまとまっているため、理解がはかどります。
収録内容
1章 放射線の基本
1-1 | 放射線、放射線量の単位 |
放射性物質の量の単位であるベクレル(Bq)、放射線を人が受ける物理的な量(吸収線量)の単位であるグレイ(Gy)と放射線防護における被ばく管理の量であるシーベルト(Sv)、および放射線の量を表す単位の接頭語、ミリ(m)、マイクロ(μ)について解説 |
1-2 | 単位間の関係 |
放射線を出す側の単位ベクレルと、放射線を受ける側の単位グレイとシーベルトの単位間の関係について解説 |
1-3 | 自然放射線について:体内、宇宙 |
日常的な身の回りの放射線からの被曝、放射線の半減期について解説 |
1-4 | 放射線の分類、実体 |
放射線の種類、粒子線と電磁波について解説 |
1-5 | 外部被ばくと内部被ばく |
体の外にある放射性物質から放射線を受ける外部被ばくと、吸入や経口により体内から放射線被ばくする経路の違いを解説 |
1-6 | X線とは:原理、散乱量 |
臨床現場で行われているX線検査のその原理と人体にX線が照射されることによって人体との総合作用により発生する散乱線(二次X線線)について解説 |
1-7 | しきい線量 |
人体影響の発生機構について、細胞死によって起こる確定的影響(組織反応)、これ以上の放射線を浴びると症状が現れ、これ未満だと症状が現れない量、しきい値について解説 |
1-8 | がん・白血病・遺伝性影響 |
がん・白血病・遺伝性影響等について放射線防護上は、しきい値はないと仮定されている。これらの人体影響は確率的影響と定義されており、どんなに低い線量でも影響は発生する確率はゼロではないことになる。その定義の理由とがんの発生機構について解説がん・白血病・遺伝性影響等について放射線防護上は、しきい値はないと仮定されている。これらの人体影響は確率的影響と定義されており、どんなに低い線量でも影響は発生する確率はゼロではないことになる。その定義の理由とがんの発生機構について解説 |
2章 放射線の医療安全
2-1 | 被ばくの概念 |
放射線による身体的影響は、放射線被ばくによる「量」であることの認識が重要です。人体影響は、どこに、どのように、どのくらいの量をどのくらいの時間・期間で受けたかによって異なることを解説 |
2-2 | 放射線防護の原則 |
放射線防護の基本3原則である、時間、距離、遮蔽について解説 |
2-3 | 被ばく管理について |
職業被ばくに関して、法令上のモニタリングと上限値(線量限度)について解説 |
2-4 | 医療安全と放射線防護 |
放射線防護上の被ばくの区分と(医療、職業、公衆)それぞれの被ばく場面、被ばくする人について解説する。また、それぞれの被ばく管理上の上限値(線量限度)について解説。さらには、個人モニタの装着部位について解説 |
2-5 | 医療現場における放射線診療時の留意点 |
医療現場における放射線診療のモダリティと内容、その留意点について解説 |
2-6 | 国家試験過去問題を元に知識の再強化 |
過去の国家試験に出題された放射線関連の問題について解説 |
3章 放射線防護のための演習
3-1 | 自然放射線の測定 |
測定器を使用して芝生の上や花崗岩の近くなど、自然界に存在する放射線を測定 |
3-2 | 放射線の可視化実験 |
自然界に存在する放射線を検出、可視化することで身の回りにある放射線を体験 |
3-3 | 線源を用いた距離・遮蔽の測定実験 |
放射線源からの線量を距離、遮蔽物を変えて測定し、線量がどのように変化するのか実験 |
3-4 | 被ばく線量と散乱線(二次X線)の測定実験 |
胸部X線撮影時の患者の被ばく線量(表面線量)および周囲の線量分布の理解、放射線防護衣(防護エプロンなど)の効果を確認 |
理解力UP
実験セット
体験して深まる、放射線の特性と向き合い方
実験を通じて放射線の特性を知り、正しい放射線防護についてを学びます。
放射性物質との距離や遮蔽板の種類や厚み(枚数)を変更する実験からは、線量を数値で実感することができます。
活用の一例を
ご紹介
ここで、東京医療保健大学 小野先生と在籍する看護学部の学生さんご協力のもと、本教材を活用した学内演習の様子をご紹介します。
まずは、DVD視聴!
はじめにDVD教材を視聴します。学生の集中力が切れてきたな…と感じたら実験を挟んでみたりと、様子を見ながら進めます。
自然放射線の測定実験
「地面からの年間被ばく量はどのくらいだっけ?」と、DVDで学んだ知識と計測値を比べてみます。
DVDの内容に沿って、距離と遮蔽の実験
DVD第3章と同じ実験を実際にやってみます。 学内の卒業前アンケートでは、「記憶に残った演習」としてこの放射線実験が上位ランクインしていたそう!
付属のワークシートに実験結果を記録
計測結果よりグラフを描くことで、放射線の特性が見えてきます。